経過措置型医療法人と基金拠出型医療法人について、教えてください。
現在、経営している皮膚科クリニックを法人化したいと思っています。
私は、出資持分ありの医療法人を設立したいと考え、書類等の作成を行い、都に提出をしましたが、後日都から連絡があり、基金拠出型医療法人での設立を指導されました。
＜失敗のポイント＞
出資持分ありの医療法人は、「経過措置型医療法人」といいます。これから新設する医療法人では、経過措置型医療法人（出資持分あり）は設立できないことになっています。
＜正しい対応＞
（１） 平成１９年４月以降に、新規で設立する場合には「拠出（基金）型医療法人」、「社会医療法人」、「特定医療法人」しか設立できません。したがって、現在の皮膚科クリニックを法人化したい場合には、「経過措置型医療法人」では、設立できないことになります。
（２） 医療法人を設立する際には、現在、一般的には基金拠出型法人となります。解散した場合には残余財産を国等に帰属させられますが、十分メリットもあります。新法下のメリット・デメリットをよく理解してみてはいかがでしょうか。
＜税法等の解説＞
基金拠出型法人と経過措置型法人の違い
基金拠出型法人とは平成１９年４月１日の新医療法施行後に通常設立される医療法人の形態をいい、持分の定めがありません。一方、経過措置型法人とは、平成１９年３月３１日以前に設立された、持分の定めのある形態の医療法人をいいます。
○ 社団医療法人
基金拠出型法人
出資持分：なし 定款の記載方法（社員資格喪失時）：定めなし
経過措置型法人
出資持分：あり
定款の記載方法（社員資格喪失時）
【出資限度法人】
社員資格を喪失した者は、その出資額を限度として払戻しを請求することができる。
【持分あり医療法人】
社員資格を喪失した者は、その出資額に応じて払戻しを請求することができる。
残余財産処分
基金拠出型法人
本社団が解散した場合の残余財産は、次の者から選定して帰属させるものとする。
（１） 国。
（２） 地方自治体。
（３） 医療法第３１条に定める公的医療機関の開設者。
（４） 都道府県医師会または都市区医師会（一般社団法人または一般財団法人に限る）。
（５） 財団医療法人または出資持分なしの社団医療法人。
○ 新法での設立
新しい法律になって、医療法人の設立に不安を感じるかもしれませんが、医療法人数は、年々増加しています。
医療法人総数
昭和６１年：４１６８
平成元年：１１２４４
平成７年：２４２７５
平成１４年：３５７９５
平成１８年：４１７２０
平成２０年：４５０７８
平成２２年：４５９８９
平成２４年：４７８２５
うち一人医師医療法人
昭和６１年：（１７９）
平成元年：（６６２０）
平成７年：（１９００８）
平成１４年：（２８９６７）
平成１８年：（３４６０２）
平成２０年：（３７５３３）
平成２２年：（３８２３１）
平成２４年：（３９９４７）
厚生労働省調査（平成２４年３月３１日時点）
＜税理士からのＰＯＩＮＴ！＞
医療法人を設立する場合には、自分の希望と設立したメリットが合致するかどうか専門家に相談しましょう。
