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相続で上場株式や証券投資信託を取得した場合の評価について教えてください。

 

財産評価通達の定めによって、次の通り評価します。

1.上場株式の評価
 上場株式の価額は、その株式が上場されている金融商品取引所(国内の2以上の金融商品取引所に上場されている株式については、納税義務者が選択した金融商品取引所とします)の公表する課税時期の最終価格によって評価します。ただし、その最終価格が課税時期の属する月以前3ヶ月間の毎日の最終価格の各月ごとの平均額のうち最も低い価額を超える場合には、その最も低い価額によって評価します。
 負担付贈与又は個人間の対価を伴う取引により取得した上場株式の価額は、その株式が上場されている金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格によって評価します。

 例えば、×3年5月15日に相続が発生。Y株式1,000株を相続したとします。
(1)Y株の×3年5月15日の最終価格  500円
(2)Y株の×3年5月平均額       520円
(3)Y株の×3年4月平均額       490円
(4)Y株の×3年3月平均額     460円
 通常は、(1)~(4)のうち最も低い価額、すなわち(4)×1,000株=460,000円により評価します。
 負担付贈与又は個人間の対価を伴う取引により取得した場合は、課税時期の最終価格、すなわち(1)×1,000株=500,000円で評価します。

2.証券投資信託受益権の評価
 証券投資信託の受益証券の評価は、課税時期において解約請求又は買取請求により、証券会社等から支払いを受けることができる価額として、次のように評価をします。

 (1)中期国債ファンド・MMF(マネー・マネージメント・ファンド)等の日々決算型の証券投資信
 託の受益証券の場合は、次の算式により計算した金額によって評価します。
 1口当たりの基準価額×口数+A-B-C
 A・・・再投資されていない未収分配金
 B・・・Aにつき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額
 C・・・信託財産留保額及び解約手数料(消費税額に相当する額を含みます)

 (2)上記(1)以外の証券投資信託の受益証券の場合は、次の算式により計算した金額によって評価します。
 課税時期の1口当たりの基準価額×口数-A-B
 A・・・課税時期において解約請求等した場合に源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額
 B・・・信託財産留保額及び解約手数料(消費税額に相当する額を含みます)
  ただし、例えば、1万口当たりの基準価額が公表されているものについては、上記算式の「課税時期の1口当たりの基準価額」を「課税時期の1万口当たりの基準価額」と、「口数」を「口数を1万で除して求めた数」と読み替えて計算した金額となります。
  なお、課税時期の基準価額がない場合は、課税時期前の基準価額のうち、課税時期に最も近い日の基準価額を課税時期の基準価額として計算します。

相続発生から申告と納税までの手続きについて教えてください。

 

財産と債務について、把握し、承認又は放棄をし、被相続人の所得税の申告、遺産の分割を経て、相続税の申告と納税を行うという流れになります。詳細については、次のようになります。

1.被相続人の死亡により相続が発生すると、死亡届を7日以内に死亡診断書又は死亡検案書を添付の上、区役所等に提出。
2.葬儀費用の領収書等を整理。
3.遺言書があれば家庭裁判所で検認を受けた上で開封(公正証書遺言は検認不要)。
4.死因贈与契約書の有無を確認。
5.相続人を確認(被相続人と相続人の本籍地から戸籍謄本を取ります)。相続人に未成年者がいれば、家庭裁判所に特別代理人の申請をします。
6.財産と債務の概要を把握。相続するか、限定承認するか、又は放棄するかを決めます。なお、相続開始後3ヶ月以内に放棄又は限定承認をしなければ、単純承認となります。
7.被相続人に確定申告義務があれば、相続人が被相続人の死亡の年の1月1日から死亡日までの確定申告を行います。なお、1月1日~3月15日に死亡した場合の前年の確定申告書及び準確定申告書の提出期限は共に、死亡日から4ヶ月以内です。
8.相続人の青色申告承認申請書を提出。期限は、死亡日が1月1日~8月31日の場合は死亡日から4ヶ月以内、9月1日~10月31日の場合は12月31日、11月1日~12月31日の場合は翌年の2月15日です。
9.相続人の消費税の届出書を提出(原則として死亡の年内)。
10.遺言が相続人の遺留分を侵害している場合は、遺留分の減殺請求が可能(相続開始後1年以内)。
11.遺言書通りに相続する場合は、財産の名義変更手続きに移ります。
12.納税資金計画を検討。具体的には、物納、延納、土地売却による納税が必要かどうかを検討します。
13.農家の場合は、農業を継承する相続人を検討。
14.遺産分割協議書の作成は、法律等で義務付けられているものではありませんが、不動産の相続登記をする場合の添付資料として必要となり、また、相続税の申告書にもその写しを添付しますので、遺言書がある場合以外は遺産分割協議書を作成することとなります。
15.納税資金の準備、延納・物納・土地売却等の確定。
16.被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署に申告、納税を行います(相続開始後10ヶ月以内)。遺産分割が終わらない場合は、法定相続分で相続したものとして申告します(ただし、未分割の場合、原則として配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例、農地の納税猶予の特例は受けられません)。
17.延納や物納の申請を行う場合は、申告と同時に行います。
18.不動産の相続登記や預貯金・有価証券等の名義書換。

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