相続税がかかるものについて教えてください
相続税がかかるのは、本来の相続財産やみなし相続財産、相続開始前3年以内に被相続人から贈与された財産、相続時精算課税制度の贈与財産です。
相続税がかかる財産は本来の相続や遺贈という形で得た財産で、金銭に見積もることが可能な経済的価値のあるすべてのものを指します。具体的に、被相続人が死亡のとき現在において有していた土地(借地権含む)や家屋等の不動産、自社株式を含む有価証券預貯金、その他経済的価値を持つもの全てです。
みなし相続財産とは民法上の相続財産ではないですが、実質的には相続や遺贈によって財産を得たことと同じような経済的価値があると認められる際には、課税の公平性を保つためにその受けた利益などを相続や遺贈によって得たものとみなし、相続税法の規定によって相続税がかかるというものです。具体的に、生命保険金(一定金額は非課税)や退職金・功労金(一定金額は非課税)、生命保険契約に関する権利、定期金の受給に関する権利、保証期間付定期金に関する権利、契約に基づかない定期金に関する権利、その他の利益の享受などです。
相続開始前3年以内に被相続人から贈与された財産は相続の対象であり、この際の財産の価額は贈与時の評価額であり、相続時の評価額ではないです。また、相続税と贈与税の二重贈与を避けるために、税が課された贈与税は贈与税額控除として相続税額から控除されますが、贈与税額控除から算出された相続税額より多いときでも贈与税が還付されることはないです。相続の開始前3年以内とは、相続開始の日からさかのぼって3年目の応当日からその相続開始日までの期間を指します。相続開始日が平成23年5月8日のときには、平成20年5月8日から平成23年5月8日までの期間です。
また、相続開始前3年以内に被相続人からその配偶者(贈与時点で被相続人との婚姻期間が20年以上である者に限る)が贈与によって得た居住用不動産または金銭で特定贈与財産に当てはまるものは、その価額を相続税の課税価格に加算しないことになっています。特定贈与財産とは以下のいずれかにあてはまるものを指します。
・相続開始の年の前年以前に贈与によって得た財産で、贈与税の配偶者控除の適用をうけたものの中でその控除額に相当する部分
・その配偶者が被相続人からの贈与について贈与額の配偶者控除の適用を受けたことがない者であるケースで、相続開始の年に贈与によって得た財産の中でその財産について贈与税の配偶者控除の適用があるものとしたときに、その控除額として控除されることとなる金額に相当する部分
相続時精算課税制度を選んで適用した際の贈与財産については相続税の対象であり、子は親からの相続時にそれまでの贈与財産と相続財産とを合算して計算した相続税額から、すでに支払いをした相続時精算課税制度にかかる贈与税相当額を控除します。このとき相続税額から控除しきれない際には、その控除しきれない贈与税相当額の還付をうけることが可能です。なお、相続財産と合算する贈与財産の価額は贈与時の時価となります。